INTERVIEW

良農園

美味しい野菜と自然に触れる農業体験が
内側からのキレイと心身のリフレッシュを実現

一般野菜から西洋野菜まで年間約100種類を生産
安心安全は当たり前、さらに美味しい野菜づくりを追求

 化学肥料や除草剤を一切使わず、有機肥料のみで露地栽培を行う「良農園(よしのうえん)」。前橋市が推奨する「赤城の恵ブランド」に認定されたタマネギやネギ、枝豆、ブロッコリーといった一般野菜から、スティッキオやカリーノケールヴェルデ、コリンキー、ロマネスコなどの珍しい西洋野菜まで、世界各地から厳選した約100種類の野菜を年間通して生産するエコファームです。
 JAをはじめ、自己販路のスーパーマーケットやレストラン、学校給食などに出荷しています。他にも、素材を活かした加工品の製造、オンラインストアでは季節野菜の詰め合わせギフトを販売するなど、精力的に農業と向き合っています。

良農園が生産する、色とりどりの厳選野菜

県内では珍しい「青パパイヤ」も生産しています

子どもが描いたニンジンの絵がキッカケ
見て・触れて・味わう農業体験を通して食育を実現

 現在、同園の代表を務める伊能友和さんが、美容室経営から実家の農業に転身したのが2009年。農業体験のスタートは、翌年の2010年からでした。当時3歳の息子さんの反応がきっかけだったと言います。
 「異業種からの転身は決してラクではなく、知識と経験を得るため、土日関係なく畑に出ていました。そのため、子どもとの時間があまり取れずにいたので、一緒に畑へ連れていき、目が届くところで遊ばせていました。
 ある時、息子が描いたニンジンの絵を見ました。ちゃんと土に植わり、葉っぱが付いた、本来の姿だったんです。驚きましたね。自分が見た風景の中で、ニンジンを認識したんだと思いました。同時に、こういう子どもが何人いるんだろうとも思いましたね」と、伊能さん。
 子どものころから農業に触れさせることの大切さ、それが食育にも繋がることを実感したと言います。

良農園の代表を務める伊能友和さん

気候が穏やかな春と秋の農業体験がおすすめ
野菜のプロと一緒に、その魅力に触れる90分

 農業体験をスタートした当初は、息子さんが通う幼稚園のお友だちを集めて、ジャガイモやサツマイモなど野菜の収穫を実施していました。
 その後、口コミやSNSなどで広がり、伊能さんが野菜ソムリエとグリーン・ツーリズムインストラクターの資格を取得したことで、さらに内容は充実していきました。
 現在では、季節に応じた収穫体験を行う前に、野菜の魅力や特徴を知れる“うんちく”の時間を用意。そして、収穫後は試食の時間。採れたての野菜の味は格別で、日によっては簡単に調理したものを味わえることも。収穫した野菜は持ち帰れるので、自宅での楽しみ方やおすすめのレシピなども教えてくれます。
 農業体験は1回90分で、1名から参加が可能。真冬を除く、通年で実施。中でも、寒さ・暑さが気にならない、春と秋がおすすめです。

農業の魅力を肌で感じる「野菜収穫体験」

野菜をもっと好きになってもらうために…
良農園ならではの取組を実践

 “うんちく”を話すことを大事にしている伊能さんに、その理由を聞くと、「誰がどのように栽培しているのか、どんな特徴があるのか、どんな栄養があるのかなど、野菜について知ることで、感じる美味しさや味わい方が変わってくると思っています。それは野菜だけに限ったことではなく、肉や乳製品、卵なども同じだと思います。野菜は、特に嫌いな子どもが多いので、好きになってもらうためにも、そうしています」。
 親の希望で農業体験に参加した子どもの中には、初めは乗り気でない子もいるようです。ただ、そんな子も“うんちく”を聞き、実際に体験する中で、次第に生き生きとした表情に変わってくるそうです。そんなとき伊能さんは、うれしさを感じると言います。

伊能さんの“うんちく”に、子どもたちは興味津々

子どもたちが憧れる職業のひとつになるのが目標
農業体験を通して僕らが出来ることとは

 農業の魅力について、伊能さんは「人が生きていくために必要なものを作っているということ」と話し、「農業体験を通して、その魅力を子どもたちに伝えていきたい」とも付け加えました。
 伊能さんが子どもの頃、近所には農家が多く、農業は身近なものでした。ただ、なりたいと思ったことは一度もなかったそうです。37歳で美容師から農家へ転身し、土作りへのこだわりや生産品目の厳選など、良農園らしさを追求していく中で魅力に気づき、さらに惹かれていったと言います。
 「僕が子どものころに思っていた農業のイメージを、今の子どもたちには持ってほしくない。そのためにも、農業体験を通して魅力を伝えていきたい。その結果、農家を目指す子が一人でも増えたらうれしいですね」と、伊能さんが子どもたちに伝えたい思いを口にしました。

一日楽しめる農業体験+αの提案が目標
原動力は野菜の美味しさと農業の可能性の追求

 農業体験をスタートしてから10余年が経過した今、次の目標について「一日楽しめる農業体験ツアーを企画すること」と伊能さんは話します。
 「都内から来たお客さんにもっと満足してもらえるような、農業体験+αの提案がしたい。ソーセージ作りができる『とんとん広場』や、チーズ体験ができる『チーズ工房スリーブラウン』、卵やプリンをお土産に買える『後閑養鶏園』など、同じ目標を持つ仲間たちと盛り上げていきたいですね。他には、新しい野菜や果物の栽培にチャレンジし、その収穫体験を行うこと」と、伊能さん。
 野菜の美味しさと農業の可能性を追求する良農園から、今後も目が離せません。

今後の目標を熱く語る伊能さん

(取材日:令和5年10月)

「良農園」について

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