INTERVIEW

たま農園

「心」も「からだ」も元気になれる場所

【近日中!】群馬県公式YouTubeチャンネル「tsulunos」にて、インタビュー動画を公開します!

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猫好き「たまさん」が営む農園

 群馬県昭和村。赤城山の北西麓に広がるこの村は、レタスやホウレンソウの栽培が盛んであり、「やさい王国」の名が付くほどの日本有数の高原野菜の産地です。野菜以外でも、こんにゃく芋の栽培面積が日本一を誇り、まさに、多くの農業者が活躍している村です。
 そんな一面に畑が広がる世界に「たま農園」はあります。この農園を営むのはお客さんから「たまさん」との愛称で親しまれている、地元出身の根岸まさみさん。無類の猫好きで、「たま農園」という名前も、飼っていた猫の名前から付けました。客室内には、ありとあらゆる猫グッズがたくさん。実際に農園では、猫を数匹飼っています。

たま農園の外観

施設内では猫を飼っています

広大な敷地にたくさんの野菜
季節ごとの収穫体験

 たま農園では、化学肥料や化学合成農薬の使用を少なくするよう心がけ、ビーツ、じゃがいも、とうもろこし、さつまいも、ラズベリー、ブルーベリーなど、たくさんの野菜や果物を育てています。季節ごとの収穫体験は、夏にはブルーベリー、ビーツやじゃがいも、秋はヤーコンやさつまいもがあります。とうもろこしの品種は、粒が白い「ピュアホワイト」で、宿泊客が収穫して食べることができます。
 取材当日は、3~4年前から実施している、近隣の保育園を招いてのブルーベリー狩りに立ち会うことができました。根岸さんが園児に向けて優しく説明し、いざ収穫へ。大きなブルーベリーを見つけて大喜びの園児たち。「本当に美味しい!(ブルーベリーは)苦手だったのに!」と、収穫体験を楽しんでいました。
 オンラインショップもやっており、そこでは野菜セットを販売。ビーツ、ケール、ホウレンソウを中心に、なるべく栄養価の高いものを入れるよう心がけています。段ボールの箱には、いっぱいに詰められた野菜。「野菜はからだをつくるものだから、うちのご飯を食べて、元気になってもらいたいっていうのが根底にあります。より栄養素のあるものを選んで入れているのは、そういう考えからですかね」。届けられる野菜からも根岸さんの思いが伝わります。

ブルーベリー狩り体験の説明

盛りだくさんの野菜セット

お客さんからの声をきっかけに

 農泊を始めたのは2019年4月のこと。当時、収穫体験に来ていたお客さんから「泊まりたい」との声が挙がったことが、農泊を始めるきっかけとなりました。始めた当初は短期の宿泊客を受け入れていましたが、コロナを機に長期滞在のニーズも増え、長期滞在のプランを作ることを決めました。大学生から高齢の方、家族連れなど様々な方が申し込みます。現在農泊は長期滞在プランを中心に受け入れを実施していますが、収穫体験だけのプランなど、ニーズに合わせた体験や宿泊ができます。
 食事は料理教室の形式でお客さんと一緒に作ります。5~7品程度を作り、テーブルに並べてみんなでビュッフェ形式でいただきます。農園からとれたての食材を使った野菜中心の食事ですが、お客様からの希望があれば田舎料理も作ることができます。「野菜はドレッシングをかける以外にも、食べ方が色々ある。ここに滞在している間に、いろんな野菜の食べ方を覚えてほしい」という思いから、野菜を使った料理が豊富に並びます。こんなに美味しい食べ方があったのかと思わず驚くほど、どの料理も絶品です。

野菜たっぷりビュッフェ

たまさんと一緒に料理教室

「たまさん、ただいま~」と帰りたくなる農泊

 お客さんは、たま農園のホームページやSNSを見て来る方もいますが、圧倒的に多いのは、知人からの口コミで来た方やリピーターの宿泊です。リピーターの中には、人生の節目に利用するお客さんも。就職活動中に長期滞在した方は、就職後に再びたま農園へ宿泊に来ました。独身の時に初めて宿泊した方は、結婚してから夫婦でも宿泊しました。「何度も会ってくれる人が多いです。『たまさん、ただいま~』ってみんな帰ってきます」と、嬉しそうに語る根岸さん。たま農園の温かさを物語っています。
 取材当日には、たま農園での農泊を機に、静岡県から初めて群馬県を訪れた長期滞在のお客さんにお話を聞くことができました。料理教室では、根岸さんと一緒に9品を調理。野菜たっぷりの料理を並べ、大きなボウルいっぱいに野菜を盛って食べていました。野菜だけでお腹いっぱいになることに気づき、とても驚いたそうです。「毎食、美味しい美味しいと言いながら食べてます」「ここは地元と比べても夜が本当に静か。よく眠れるし、ご飯は美味しいし、猫はかわいい」と、たま農園での滞在を楽しそうに話していました。

「元気がなかったらたま農園に来ればいいじゃない」

 根岸さんに今後の目標をお聞きしました。「お客さんと楽しく過ごせるたま農園を、ずっと目指している感じです。それを主軸に、野菜があったり、健康的な食事があったり。元気がなかったらたま農園に来ればいいじゃない、と」。
 根岸さん自身も、日頃のストレスが原因で、元気がでない日々が続いたことがありました。当時は「本当にご飯も食べられなかったし、元気になれる場所もなかった」。そんな過去があったからこそ、「仕事でもプライベートでも、疲れた人たちが一時でもホッとして、元気なご飯が食べられて、心身ともに回復してくれればいいな」という思いを持って、収穫体験や農泊を行っています。
 実家のような安心感のある施設に、すべてを受け止めてくれるような優しい雰囲気の根岸さん、そして、そこで働くたま農園のスタッフ。「元気になってもらいたい」という思いが詰まった活動は、これからも続きます。

客室内

お客さんみんなで食事

広い農園では、たくさんの種類の野菜を育てています

収穫体験

(令和7年7月取材)

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